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「サプリメントと薬って、そもそも何が違うの?」

薬,サプリメント

 

あなたの飲んでいる薬、実はサプリメントかも?

誰でも、生まれてから今までに、一度は病院で薬を処方された経験があると思います。

そこで、皆さんにひとつ質問です。

 

「あなたが病院からもらった薬は“ほんとうの薬”ですか?」

 

こう質問されても、おそらく多くの方は「??」と不審に思われるかもしれません。

「病院で医者がきちんと診察・検査した上で患者の症状に適した薬を処方するんだから、全部薬に決まってるじゃないの」

そう、多くの方は認識されていると思います。

しかしここであえて、いいます。

 

「医者が出す薬は、すべて薬ではない」と。

 

実は、医者から処方される薬の約4分の1は、正確には「ビタミン剤等の栄養剤」という名の薬として出されているんです。いきなりこんなことをいわれても、ピンとこない方もいるかもしれませんね。ここで、薬とビタミン剤(栄養素)の違いをご説明しましょう。

 

薬と栄養素 それぞれの特徴

 

:ある特定の症状に効果を発揮するように、人工的に作られたもの(主作用)。その代わり、服用することで違う影響(副作用)が出ることもある

栄養素:基本的な免疫力を高めるためのものであるが、その効果が出る原因やメカニズムはよくわかっていない。

 

例えば、神経痛の患者に医者が薬を処方する場合、通常「2種類の薬」を処方します。

ひとつは「末梢循環改善剤」という薬。これは血管を開く作用がある反面、効き過ぎると低血圧や肝臓悪化などの副作用も現れる、正真正銘の「薬」です。

もうひとつ、「メチコバール」と呼ばれるものが出されますが、こちらは別名「ビタミンB12」。そう、これは薬ではなく「栄養素」になるんです。このB12はサプリメントとして、ドラッグストアなどで市販もされています。

 

今、ここで紹介したことは、私たち医者にとっては薬に関するごくごく基本的な知識です。しかし、意外なことに一般には広く知られていません。

 

「医者は何でも知っている」は、間違い?

先ほど紹介した薬とサプリメントの話に関連して、もう一つお話しましょう。

 

医者が出す「栄養素」は、薬として処方されているため保険が効きます。しかし、市販されているサプリメントには、保険が利きませんよね。

普段、多くの方はサプリメント=薬局などで購入するものという意識だと思います。しかし、市販のサプリメントは、医者が出すビタミン剤よりもはるかに濃度が低く、保険も利かないので高額で購入していることになるのです。これって明らかにおかしいですよね。

 

この原因としては、2つ挙げられます。

ひとつは、一般消費者に対する薬やサプリメントの圧倒的な情報不足。基本的に、病院で出される薬やビタミン剤に関する情報(例えば新薬が開発されたときの製品情報)は、製薬会社のMRから医者に対して、随時、情報が入る仕組みになっています。しかし、その情報は世間には宣伝されないんですよ。だから当然、一般の人は病院で出される薬やビタミンなどの知識は浅く、その代わり、一般に広く宣伝されている高額なサプリメントを買うことになるわけです。そして、医療法薬事法での広告制限があって、我々医師が処方する薬、ビタミン剤共に広告ができないのです。広告ができないんだから一般の方々に伝えることなど到底できませんよね。

 

そしてもうひとつの理由、それは医者側にあります。

実は、多くの医者は「薬」に対する知識は豊富である一方、「サプリメント(栄養素)」についての知識はあまりないのです。

 

「医者が出しているビタミン剤について、医者自身がわかってないなんておかしい!」

 

皆さんも、こう疑問に思われるかもしれませんが、これは事実です。

私がアメリカで医療の勉強をしていた時、アメリカの医者は栄養素に対する知識が豊富であることに驚きました。アメリカの場合、日本の厚生労働省に当たるFDA「食品衛生局」が医療業界を管理監督していることからもわかるとおり、医者になるためには栄養素に関する知識習得は必須だからです。これに対し、日本の場合、医師になるための国家試験において、(自分が医師国家試験を受けたのは、もうかれこれ35年くらい前だけど、、、)栄養に関する問題は100問中、わずか1問程度。これでは、多くの医者が栄養に関する勉強に力を入れず、栄養に対する知識がないのもうなずけます。

また、日本のサプリメントとは違い、アメリカでは内容表示の規定が大変厳しく、内容量などの表示義務もあります。

 

日本でもこの2,30年昨今の健康食品ブームで、情報反乱がひどすぎるのを受け、厚労省もやっと重い腰を上げて規制強化に踏み出しました。

つまり、市販のサプリメントの機能性表示をするためには治験(人体を使った倫理的な効果判定、つまり治験です)を行うように指導が入りました。

機能性表示がないと、このサプリは@@にいい。 などの表現ができなくなります。

 

「今は個人の感想です、、、、」で、逃れている表現にも限界がきそうです。

 

日本の医師は優秀ですが、一つ一つの症状に対する薬の処方(対症療法)はできても、栄養による体質改善や食生活の指導など(原因療法)ができない上、「市販のサプリメントなんて健康に対する効果がない!」なんて具体的な根拠もないまま断言する医師も多いのです。

 

ここで理解していただきたいのは、決して医者は医療に関してなんでも知っているわけではないということ。ぜひ、この事実も今のうちに認識しておいてください。

 

次回は来週更新予定です。お楽しみに!

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