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あなたは知っていますか?日本の医療が欧米に負けている3つの事。

 

 

今までご紹介してきたように、日本の医療は世界に比べて優れている点は多々あります。

例えば、低い医療費で最先端の高度医療を気軽に誰もが受けられる環境が、日本にはあります。それが「世界一の長寿国」という、ひとつの事実に結びつくわけです。

しかしその一方、医師数は少なく、高度な医療環境をキープすることができるのかも問題になっています。また、本格的な少子高齢化時代を迎える中で、従来どおりの医療サービスを維持できるのか、といった問題も抱えているのも事実です。

このような環境の中で、私が皆さんにお伝えしたい重要なポイントが3つあります。

それは、「予防医学」「代替医療」「移植」です。

この3つの点は、日本が欧米諸国に比べ、“決定的に遅れている”ポイントなのです。

そこで、この3つのポイントについて、それぞれの基本的な説明と、欧米諸国と比べてどれほど遅れているのか、さらに、遅れている原因やそのことによるデメリットなどについてご説明していきたいと思います。 

 

ポイント1 病気に対する予防

「予防医学」とは、その名のとおり、病気を未然に防ぐための医学です。

1977年、アメリカの上院栄養問題特別委員会で発表された「マクガバン・レポート」において、次のような指摘がありました。これが、医療ベースの正しい予防医学の始まりだといわれています。

 

1.ガン、心臓病、脳梗塞などの病気は現代の間違った食生活が原因

2.現代医学は薬や手術に偏りすぎ、あまりにも栄養を無視

「そもそも病院は苦手だし……。できればこのまま一生、病気になんてなりたくないわ」

誰もがこのように思われているのではないでしょうか?当たり前のことですが、誰だって病気になんかなりたくありませんよね。

しかし、現在この医学に精通している人は、一般の方だけでなく、私と同じ医療業界の中でもあまり多くありません。

今まで予防医学に対する取り組みが、なぜ日本では遅れていたのかご存知でしょうか?

その大きな原因として、先ほど紹介した「医療環境」が影響しています。

国民全員が健康保険制度に加入することで、誰もが高度な医療サービスを安価で受けられるのが、今日の日本の充実した医療環境を築き上げてきました。しかし、このことが皮肉にも「いざ病気にかかっても、そのときは病院に行って治療してもらえばいい」という意識を、国民に対して植え付けてしまうことにもなったのです。

その結果、多くの日本人にとって、病気は「かからないように意識する」ものではなく、「かかってしまった後に、どう治すか」ということのみに意識が集中してしまうことになりました。皆さんにも心当たりがあるのではないでしょうか。

 

このような意識では、予防医学になかなか目が向かないのも、仕方がないのかもしれませんね。国民の病気に対する意識が変わらなければ、医療業界もそれに合わせざるをえないのです。予防医学を含めた、病気の根本的な発生要因を分析して取り除いていく「原因療法」よりも、とりあえず今発症している症状を治療する「対症療法」に力を入れることになってしまいます。

医療制度もまた、世間の声に流されているように感じます。そのため、対症療法の多くは健康保険が利くのに対し、原因療法や予防医学に対しては、ほとんどが「保険適用外」になってしまったのです。

アメリカでは、先ほど触れたとおり「国民健康保険」のような制度がありません。任意に保険に加入しない限り、病院での治療費は日本と比べて桁違いに高い!だからこそ、普段から「病気にならないための、健康的な体作り」に対する国民の意識が高くなります。

 

自分に合ったサプリメントを摂取したり、エクササイズなど、適度な運動に取り組んだり、アメリカでは予防医学に対して積極的です。これも、日本との大きな違いですね。このことからも、「予防医学」に対する国民の意識や、医療体制の違いが生まれる理由がおわかりいただけると思います。

このように、日本における予防医学は、健康や病気に対する意識、医療環境や制度、国の借金問題なども含めて多くの問題を抱えているといえるでしょう。

 

ポイント2 いまの西洋医学に代わる治療法 代替医療

「代替医療」とは、いわゆる西洋医学に代表される、皆さんが考えている一般的な医療のかわりに用いられる医療を指します。例えば、「漢方薬」などに代表される中国伝統医学や各種民間療法、栄養療法などもそのひとつ。皆さんの中にも、利用された経験がある方も多いのでは?

実は、これらは先に紹介した「予防医学」と密接なつながりがあるのです。

そもそも、代替医療が注目を集め始めるようになったのは、西洋医学=現代医療に対する不信が高まってきたことにあります。

「わが国は核を分裂させ、人を月に到着させたのと同様の集中した努力を、この恐るべき疾患(がん)の征服のために振り向ける時が来た」

 

1971年、アメリカでは当時のニクソン大統領が一般教書演説の中で宣言しました。これは、がん治療研究に対して大規模な資金を投入することを意味します。事実、その後10年以上に渡り、多額の投資を続けてきました。

しかし、結果的にがんの死亡率は上昇の一途をたどるばかり……。やがて、がんに対する研究は、治療から予防にシフトさせることになるのです。

ここで注目したいのは、一定以上の効果をあげられない現実に、徐々に気付きはじめてきたことです。そこで、現在の主な治療方法である薬物や化学療法、手術などの外科療法、放射線治療などの物理療法などによる治療以外の方法にも目を向けることになったのです。

その結果、アメリカでは1992年にCAM(補完代替医療)の科学的な研究と評価のために代替医療局を新設、1999年には国立CAMセンターが設立されました。現在、アメリカは毎年約3億ドルもの予算を代替医療の研究につぎ込んでおり、世界の補完代替医療分野をリードする存在になったのです。

このように、アメリカをはじめ、欧米各国では従来の西洋医学を補完する意味で代替医療を積極的に普及させる取り組みが、90年代以降行われています。

治療から予防へのシフトに伴う代替医療の注目の高まりという経緯からも、冒頭で触れた「予防医学との密接なつながり」に関して、おわかりいただけるのではないでしょうか。

日本においては、いまだ予防医学に対する注目が低く、医療体制が整っていません。このことは、代替医療にも同じように当てはまるのです。

  

ポイント3 圧倒的に実施事例が少ない臓器移植

ポイント1、2で紹介した事例は、主に「病気になる前に行うべき医療」「病気になったときに、従来の医療の枠にとらわれず、あらゆる手段を視野によりベストな方法で治療するべき医療」でした。しかし、臓器移植に関しては「命をつなぎとめるために他に選択肢がない、極めて緊急性が高い医療」です。

 

ここで重要になるのが、「いかに臓器移植を必要としている患者に対して、迅速かつ正確な臓器移植ができる医療環境を築けるか」ということ。その代表的な例が臓器のドナー登録者数の確保であり、提供する側(ドナー登録者)と受け入れる患者側を迅速に結びつけるネットワーク整備にあります。

 

実際に臓器移植が行われた件数について、日米で比較してみましょう。

アメリカにおける脳死および生体ドナー数は、2000年に約5800、実際には年間4000~5000程度の脳死臓器移植が実施されています。

それに対し、日本での脳死臓器移植は2000年にわずか6例。その後、年を追うごとに少しずつ増加していますが、直近の2007年度では、臓器提供件数が105、移植件数が230です。アメリカと日本の総人口比が約2・5対1であることを考慮しても、圧倒的に少ないことがわかります。

アメリカをはじめ、ヨーロッパでは、今から30年も前から臓器斡旋・移植に対する国民の理解やシステムの構築に取り組み続けてきました。その結果、多くの患者が移植によって新しい命を手に入れることができ、再び不自由なく日常生活を送れるようになっているのです。

それに比べ、日本で脳死臓器移植が本格的に実施されるようになったのは1999年のこと。わずか10年も経っていない状況です。

日本における臓器移植を取り巻く環境は、欧米諸国に比べて多くの制約を抱えています。例えば、現在の臓器移植法案では15歳未満のドナーは認められていません。特に、心臓移植を切望する子供の場合、多額の費用をかけて海外で移植を受けるしかないのが現状です。

また、脳死を巡る判定基準に関しても、いまだ明確な判定が出されていません。そのため、先にもお話したように、移植件数の大幅な増加には結びつかないのです。

今、こうしている間にも、多くの患者が臓器移植を待ち望んでいます。そこに残されている時間は、それほど多くはないのです。今ある命を繋ぎ止めるために、日本における臓器移植環境の整備は、待ったなしの状況にあります。

 

私見ですが、これからの移植には再生医療やIPS細胞などの最先端医療も含まれます。

大阪・中之島(旧阪大医学部跡地あたり、、、)にも2026年を目途に再生医療研究所ができます。

日本の最先端技術が世界を救う日も遠くはないと思っています。

 

次回の更新をお楽しみに!

 

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